全米No.1バンドはなぜ失墜したのか?
決行された“鉄のカーテン”ツアー、分断のアメリカにおけるキャンセル・カルチャー、国務省の陰謀
冷戦から半世紀以上の時を経て発見されたツアー映像で紐解く、ロック史を超えた歴史的音楽サスペンス・ドキュメンタリー
ブラッド・スウェット&ティアーズは1969年に超人気バンドだったのに、気がついたら過去の人たちになっていました。それには「現実は小説より奇なり」としか言いようがない複雑な事情が重なっていたのです。政治のために利用された彼らの長年封印されていた記録映像はとても貴重なものです。BS&Tのファンではなかったぼくは釘付けでした。
ピーター・バラカン
監督:ジョン・シャインフェルド
恵比寿ガーデンシネマ、シネマート新宿、シネ・リーブル池袋ほか
全国順次公開
原題:What The Hell Happened To Blood, Sweat & Tears?
2023年/アメリカ/112分
字幕:山口三平
配給:ディスクユニオン
配給協力:ALFAZBET
Trailer
予告ムービー
About This Movie
この映画について
WHAT GOES UP,
MUST COME DOWN...
上がったものは、落ちてゆく
<スピニング・ホイール> 歌詞より
1960年代後半から1970年代。シカゴ、チェイスなど、ホーンセクションを従えるバンドが一世を風靡することになるその時代、ブラスロックというジャンルを打ち立てたブラッド・スウェット&ティアーズは、ホーン入りバンドブームの先駆者となった。運命の1970年春も、彼らはグラミー賞を受賞したセカンドアルバム『Blood, Sweat & Tears(邦題:血と汗と涙)』と、〈You've Made Me So Very Happy〉〈And When I Die〉〈Spinning Wheel〉 といったヒットでチャートを席巻し、絶好調だった。
しかし彼らはこの年、アメリカ国務省が主催した、東欧諸国を回る“鉄のカーテンツアー”の直後、二分化した大衆の社会騒乱に巻き込まれ、人気絶頂から転落していく――。
国務省側が手配した撮影スタッフもバンドに同行したが、このドキュメンタリーは未完のまま隠され、陽の目を見ることはなかった。しかしそれらが奇跡的に発掘され、半世紀以上の時を経て初公開となった。鉄のカーテンの向こう側で撮影された門外不出のフィルム、当時の関係者から提供された数多くの写真、ニクソンとヘンリー・キッシンジャー国務長官との間のホワイトハウスでのやり取りを含むアメリカ政府文書、ユーゴスラビアとドイツのテレビ局向けのパフォーマンス映像、ルーマニアの秘密警察からのファイル――これまで明らかになっていなかった数多の機密データが、不都合な歴史の真実をあぶり出す。
全米No.1まで昇りつめながら突如として陥落した人気バンドに一体何が起こったのか? 彼らが鉄のカーテンで目撃してしまったもの、そして、それ故に帰国した彼らを待ち受けていた事は――? 当事者であるBS&Tメンバーの全面協力のもと、ロック史のみならず現代の世界史にも繋がっている大国アメリカの闇と分断を垣間見る、壮大な音楽サスペンス・ドキュメンタリーが日本に上陸。
Cast
出演
Blood Sweat and Tears
ブラッド・スウェット・アンド・ティアーズ
1967年、ブルース・プロジェクトを脱退したアル・クーパー(vo, key)がボビー・コロンビー(ds)、スティーヴ・カッツ(gt)と結成。ロック、ブルース、カントリー、ジャズなど様々なアメリカンミュージックを巻き込んだ新世代の音楽、そしてホーンセクションを従えるロックバンドという斬新なサウンドは、ホーン入りバンドが一世を風靡する先駆けとなった。68年のデビュー作『子供は人類の父である』は全米TOP50ヒットとなるが、直後アルは脱退。新ヴォーカルのデヴィッド・クレイトン・トーマス加入後のセカンドアルバム『血と汗と涙』は7週連続全米1位を記録、69年グラミー賞の4部門を受賞。収録曲の「スピニング・ホイール」「アンド・ホエン・アイ・ダイ」「ユーヴ・メイド・ミー・ソー・ヴェリー・ハッピー」もシングルチャートを席巻。そんな絶頂期の中、本作の舞台となる東欧ツアーへと旅立ってゆく。
Theater
劇場・上映スケジュール
北海道
関東
中部・北陸
関西
九州